弁膜症の手術をするということ

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コラム

置換手術Ⅰ

2020/11/12

手術をするということ

 心臓弁置換 

ドイツ女性の宝物 ロイ・ブラック

 ∮ 第二次世界大戦から復興し大国と言われる国では平和を取り戻しながらも、世界ではベトナム戦争や独立戦争、数々の内戦が続いていた1960年代から91年、ドイツの国民的歌手で、老若男女から愛されたロイ・ブラックについて本を著し、自費出版された木下秀子さんにお会いした。

彼女は最初You Tubeで彼の歌を聴いて心摑まれ、どんな人かと調べるも日本語の資料が一切なかったとのこと。

ドイツ雑誌の人気投票で4年間もトップに君臨していたロイ・ブラックは、ビートルズやプレスリーなどの世代で、当時の日本は誰もが洋楽に熱狂していた時代だったが、ドイツが敗戦国だったゆえなのか、その声もメロディも全く日本に流れなかったらしい。亡くなって二十年の時を経、ヨーロッパ叙事詩が好きで、ギターの弾き語りもしていた秀子さんに偶然引き寄せられた。

まだまだ現役でいてくれたなら、この甘いルックスと声は大いに日本でも人気を得たことは間違いないと思う。しかし48歳という若さで既に他界し、ドイツ以外ではほとんど知られていないことをとても残念に感じた彼女は、自分が日本に紹介しようと決意。五十代半ばにしてドイツ語を学び、何度も渡独して後援者達と交流し、ついに発刊を実現するに至った。

ぜひとも多くの日本人に聴かせたいという彼女の思いと、ベルベットのようと形容される神秘的で伸びやかな声に、当然ながら私も感銘した。

一聴で衝撃を受けた彼女とは違い、私は色々な彼のライブを見ているうち、20年以上の歌手人生で変わらないピュアな眼差しや表情に夜ごと惹き込まれた。素敵な歌声やハンサムな笑顔に悩殺されたことは否めないが、その歌にはとても愛があった。

 

幼いころからの夢をかなえ、幅広く全国民に愛され、その愛に応える歌を歌いながら、なせ彼は四十代で人生を終えなければならなかったのか?(大スターでは珍しくはないけれど・・)

 

故人が伝えてくれているメッセージを遺された私たちは受け取らなくてはならないと思う。

心臓弁膜症

手術という治療について

秀子さんの本によるとロイ・ブラックは七歳で心臓弁膜症と診断され、生涯病との闘いだったとある。

以来ずっと服薬を続けつつ何度か手術を受けてきたようである。

弁膜症とは、心臓で血液が逆流しないよう開閉している弁の機能が不全な状態の総称。

そんな大雑把な病名でくくっているあたり、つまりはどんな理由でしっかり閉じれなくなっているかの精査、追求よりも、人工的によりよい弁を作ってはめ込むことを最終的な解決法と医学は考えている(ように私には感じられる)

人工弁への置換とは、人間の組織に近いとされているブタの生体弁、またはチタン製の機械弁を手術、もしくはカテーテルで挿入される。ロイブラックも最終的にはチタンが胸に入っていたようである。

生体弁は三か月もすれば体内で融合し(徐々に自己組織が再生し置き換わっていくため)抗凝固剤は不要になると医学書には書かれているが(実際は不明)、チタンの場合は異物反応で血液が固まらないよう生涯服薬しなければならない。薬が身体の生理に及ぼす影響は多々あり、ちょっと怪我をしても歯を治療しても血液が固まりにくく止血しにくいなどのハンディや恐怖感を伴う。

私の知人に30代で脳出血で亡くなった方がいるが、彼も心臓の手術後抗凝固剤を服用していた。

副作用自体で時には命を奪われることに医学はあまり気をとめていないような気がする。

いやそもそも!服薬どうこうより普通に考えてみれば、心臓の中に金属が入っているなんて、もとより何らかのハンディがある方ならば余計負担になるのではないだろうか?

手術を受けることを承諾する方々は、この点よーく説明を聞いて熟慮したうえで決意しているのか?

まさかまさか、自分の身体のことなのによく考えることもなく「先生にお任せします」と言っていないだろうか?

ー次回につづくー